カトリック上福岡教会

説教

年間第4主日(A年 2023/1/29)

マタイ5:1−12a

父と子と聖霊のみ名によって。 アーメン。

今日の福音は、マタイが伝える主キリストの「山上の説教(垂訓)」冒頭の主の祝福のおことばです。ここで、主が、「幸いである」との祝福を八重に繰り返してくださっておられることから、「真福八端」と呼ばれてきました。「端」とは「ことば」です。

カトリック教会おいては、今日の福音・「真福八端」は、古来、11月1日の「諸聖人の祭日」に朗読されてきました。11世紀の初めから、列聖された聖人方を11月1日、他の帰天されたすべての方々を11月2日に分けて記念する習慣になりましたが、古くは、11月1日を「神に仕えたすべての聖人方の日」とし、列聖された方々のみならず、帰天されたすべての方々、わたしたちの信仰の先輩方すべてを記念していました。

ここで、「神に仕えたすべての聖人方」の「聖」とは、如何なることなのでしょうか。聖書では、「聖」である方は、神お一人です。主キリストお一人です。このことははっきりしています。そうであれば、「聖人」とは、生まれながらに聖い人と言うよりも、主の「みことば」と「聖霊」を受け、神によって「聖くされた人」のことです。

「心の貧しい人々は、幸いである。天の国はその人たちのものである。
悲しむ人々は、幸いである。その人たちは慰められる。…
心の清い人々は、幸いである。その人たちは神を見る。…」

「心の貧しい人々は、幸いである」と、主キリストは仰せです。「貧しい人々」とは、主の他に頼る方が誰もいない者たち、わたしたち自身です。「天国・神の国」を望んで、わたしたちは主以外にいったい誰を頼ることができるでしょうか。そのわたしたちに、「神の国の主キリスト」は「天国」を約束してくださいます。それが主の祝福です。

主キリストのこれらのおことばは、「真福八端」と呼ばれてきたと申しました。わたしたちに対しての八つの詩句からなる主の「祝福のみことば」です。ご自身「聖」にして、わたしたちを「聖とする」ことがおできになる神からの祝福です。わたしたちが「聖とされ、天国を約束されること」。それが、主から祝福されるということです。

わたしたちが主キリストによって「聖とされ、天国を約束される」。それは、わたしたちが「神の国の主キリストのもの(キリスト者)とされる」ことです。それを使徒聖ヨハネは、「御子キリストに似た者となる」(1ヨハネ3:2)と教えていました。わたしたちが「聖とされ、天国を約束される」、主から祝福されるとは「御子に似た者とされる」こと。主に祝福された「聖人方」こそ、「主キリストに似た者とされた方々」です。

その祝福を主キリストは如何にしてわたしたちにお与えくださるのでしょうか。それは、「祝福のみことば」と祝福をわたしたちの内に成就させてくださる「聖霊」によってです。「聖霊」は、主の「みことば」と共に働いて、わたしたちに「イエスは主である」と告白させてくださいます。「みことばとともに働かれる聖霊」こそ、洗礼にてわたしたちを新たに生まれさせ、ごミサで、わたしたちの捧げるパンとブドウ酒をご聖体・主ご自身の御からだと御血・主ご自身のいのちに変えてくださる方です。

「みことばと聖霊」において、主キリストがわたしたちにくださるのは主ご自身です。主はご聖体においてご自身をお与えくださることによって、聖霊によってわたしたちを「聖」とし、「キリストに似た者」としてくださいます。それが主の祝福です。主こそ、祝福その方だからです。わたしたちの信仰の先輩方・神に仕えたすべての聖人方は、主キリストご自身を祝福として受け、「主の似姿に変えられた」方々です。

今、わたしたちもこのごミサで、天に帰られた彼らがかつてそう祈り願ったように、「主キリストよ、わたしたちにみことばをください」と、主に願います。主は、わたしたちにも必ず「みことば」と共に「聖霊」を、主ご自身をくださいます。主は小さなわたしたちにも、ご聖体において、主ご自身を祝福としてお与えくださいます「心の貧しい人々は、幸いである。天の国はその人たちのものである」と、主は仰せです。

わたしたちは、天に帰られた信仰の諸先輩方に比してはるかに劣る者でしょう。しかし、主キリストがご聖体においてわたしたちにもお与えくださる主ご自身は、主が神に仕えたすべての聖人方にお与えになられた主と全く同じ主ご自身です。主は今も、いつも、代々に、一人なる同じ主であられるからです。わたしたちにさえご自身をお与えくださる主キリストを、その恵み故に、わたしたちは心から畏れます

天に帰られたすべての聖人方は、今や天で主キリストとともに、地上でごミサが先取りしていた「神の国の食卓」に着き、主のみ前に一心に主を褒め、主を称えていると信じられています。ご自身を祝福としてわたしたちにお与えくださった主への彼らの愛と感謝は、地上での制約されたわたしたちの思いを遥かに超えるでありましょう。天に帰られたすべての聖人方は、このことをよく知っておられると思います。

父と子と聖霊のみ名によって。 アーメン。

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