カトリック上福岡教会

説教

死者の日(C年 2022/11/2)

ヨハネ6:37−40

父と子と聖霊のみ名によって。 アーメン。

11月1日の「諸聖人の祭日」に続いて、「死者の日」と呼ばれる11月2日は、英国では「諸聖徒の日(Holy souls)」と呼ばれます。日本では、洗礼を受けずに亡くなった方々に配慮して「死者の日」とされたのだと思いますが、この日は「諸聖徒の日」と呼ばれる方が、教会の暦には相応しいでしょう。

「諸聖人」、あるいは「諸聖徒」の「聖」とは、いかなることなのでしょうか。聖書においては、「聖」である方は神お一人です。主キリストお一人です。このことははっきりしています。そうであれば、教会で列聖された「聖人」を含めて、広く「聖徒」とは、彼自身聖なる特別な人と言うよりも、神によって「聖くされた人」、つまり「キリストのものとされた人」のことであるに違いありません。

「父がわたしにお与えになる人は皆わたしのところに来る。わたしのもとに来る人を、わたしは決して追い出さない。わたしが天から降って来たのは、自分の意志を行うためではなく、わたしをお遣わしになった方の御心を行うためである。わたしをお遣わしになった方の御心とは、わたしに与えてくださった人を一人も失わないで、終わりの日に復活させることである。」(ヨハネ6:37-39)

ここで、主キリストが「ご自分のものとされた人」、つまり、主によって「聖とされた人」について、主キリストご自身は、それは「父がわたしにお与えになった人」と仰っておられるだけです。

主キリストは、わたしたちの中で、特に聖い人たち、正しい人たちを選ばれたとは言われていません。「天の父なる神が、子なる神キリストに託された人たち」を、主キリストは、ご自分のものとする、「聖」とする、と言われるだけです。

すなわち、「諸聖徒」とは、天の父なる神から主キリストに託され、主によって「聖」とされた人たちのことです。そうであれば、感謝すべきことに、これはわたしたちすべてにも、信仰によって開かれている恵みではないでしょうか。

「諸聖徒」方は、主キリストによって「聖とされた人々」です。彼らについて、主は先のおことばに続いて、さらに、次のように仰せになっておられます。

「(わたしの父の)御心とは、わたしに与えてくださった人を一人も失わないで、終わりの日に復活させることである。わたしの父の御心は、子を見て信じる者が皆永遠のいのちを得ることであり、わたしがその人を終わりの日に復活させることだからである。」(ヨハネ6:39-40)

主キリストのみことばは、たんなる慰めの言葉ではありません。神の約束のことばであり、聖霊によって成就される恵みの事実です。神のみことばは、聞くわたしたちに、今ここで、聖霊によって働く力であり、事実です。神のみことばは、聞くわたしたちを聖霊によって「聖とする力」、「主キリストのものとしてくださる力」です。主キリストは、わたしたちにみことばをくださる時、みことばとともに必ず聖霊をくださいます。これがカトリックの信仰です。ここにわたしたちの希望があります。

そして、この聖霊なる神こそ、わたしたちに「イエスは主である」と信じ、告白させてくださった方です。しかもこの聖霊こそ、みことばと共に働いて、洗礼においてわたしたちを新たに生まれさせ、さらに、ごミサにおいてわたしたちの捧げるパンとブドウ酒を主キリストご自身の御からだと御血、つまり主キリストご自身のいのちとしてわたしたちにお与えくださる方、に他なりません。

主キリストは、わたしたちにみことばを与えてくださるだけではありません。主はわたしたちにみことばと共に聖霊をお与えくださり、その聖霊によってわたしたちの内に働き、主のみことばをわたしたちの内に結ばせてくださいます。これが、主キリストのみことばと聖霊の力、福音の力です。

11月1日にわたしたちが記念した「諸聖人」方に続いて、2日に記念する天にあるわたしたちの信仰の先達である「諸聖徒」方。彼らは、主キリストによって「聖」とされた方々です。主によって、祝福のみことばと共に聖霊を受けた方々です。聖霊によって、主キリストのみことばが、彼らのいのちそのものとされた方々です。彼らは、聖霊によって、神と人とに対する祝福とされた方々です。

諸聖人方と共に諸聖徒方は、天のみ国にあって、愛と感謝を以ってひたすらに主を褒め、とこしえに主を称え賛美しておられると教会は信じて来ました。わたしたちの主キリストへの愛と賛美は、地上において制約されたわたしたちの主への思いを遥かに超えさせていただける天においてこそ全うされるに違いありません。諸聖人・諸聖徒方は、このことを天に在って既によく知っておられる方々であると思います。

父と子と聖霊のみ名によって。 アーメン。

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