カトリック上福岡教会

説教

待降節第四主日(C年 2021/12/19)

ルカ1:39−45

父と子と聖霊のみ名によって。 アーメン。

「あなたは女の中で祝福された方です。胎内のお子さまも祝福されています。わたしの主のお母さまがわたしのところに来てくださるとは、どういうわけでしょう。」 今日の福音は、主キリストを宿されたマリアさまのご訪問をうけたエリサベトが、「聖霊に満たされて、声高らかに」聖母さまに告げた言葉を伝えていました。

主キリストのご降誕を間近に控えた待降節の最後の主日の今日、福音から、とくに聖母マリアさまを想い起こさせていただくことは、まことに相応しいことだと思います。来たる降誕日に、わたしたちは聖母さまを通して、そして聖母さまを通してのみ、主キリストをお迎えさせていただくことが許されるからです。

マリアさまご自身の待降節は、主なる神がみ使いガブリエルをマリアさまにお遣わしになられたことに始まります。このことは、神の内にはすでに、救い主をわたしたちにお送りくださるための長い準備の時が隠されてあったことを示しています。

神のみ使いガブリエルは、主キリストのご降誕に先立って、主なる神が預言者たちに託されたご自身のみことばとその約束の一切を携えて、主からマリアさまの許に遣わされました。だからこそ、み使いは、聖母さまに次のように告げることができました。「おめでとう、恵まれた方。主があなたと共におられる。」(以下ルカ1:26−38)

待降節は、わたしたち自身の期待に胸膨らませる時である以上に、わたしたち自身にとっても、マリアさまとともに神の恵みをこの身に宿させていただき、マリアさまのように、神のみ前にわたしたち自身を、みことばによって整えさせていただく時ではないでしょうか。み使いガブリエルはマリアさまに次のように告げていました。「マリア、恐れることはない。あなたは神から恵みをいただいた。あなたは身ごもって男の子を産むが、その子をイエスと名付けなさい。」

待降節とは、主キリスト、すなわち神の恵みをこの身に宿させていただく時。マリアさまには、それは御身に起こった事実です。わたしたちにとっても、そうではないでしょうか。待降節とは、主キリストに備えてわたしたちの心を整える時のみならず、主を宿させていただくためにわたしたちの「からだ」が恵みによって整えられる時。そして、信仰がわたしたちの「身(からだ)」の事実となる。それがクリスマスです。

ただし、神との間に距離を置こうとするような罪なるわたしたちには、それは恐るべきことかもしれません。しかし、神は、そのようなわたしたちに、汚れなきマリアさまとともに御子キリストを託し、宿させてくださいます。実はこのことこそ、わたしたちにとって、神のみ前に真に恐れるべきこと、なのではないでしょうか。

だからこそ、み使いはマリアさまに、さらにマリアさまを通してわたしたちすべてに、呼びかけておられるのです。「恐れることはない」と。そう、恐れなくてよいのです。なぜなら、「あなたは神から恵みをいただいた」のだから、と。

「神からいただいた恵み」。それは神の御子キリストです。同時に、この神の恵みが、主キリストの霊、すなわち「聖霊」でもあることは、同じくみ使いガブリエルがマリアさまに告げた次のことばによって明らかです。「聖霊があなたに降り、いと高き方の力があなたを包む。」

待降節は、人が始めた時ではありません。神が、恵みによってマリアさまに始めてくださった時です。さらに、聖母さまとともに歩むわたしたち一人ひとりに、主が恵みによって備えてくださった時。聖母さまを通して「見えるものとなられる神」ご自身が、聖霊のみ力によって降誕日に成就してくださる神のみ業を待つ時です。

そして、待降節の結ぶ実、すなわちクリスマスの祝福こそ、神ご自身であられる汚れなき神の御子キリストの誕生です。天使ガブリエルは「だから」と、続けてマリアさまに告げておられました。「だから、生まれる子は聖なる者、神の子と呼ばれる。」

聖母マリアさまご自身の待降節の始めに遣わされたみ使いガブリエルは、主から託された聖母さまへのおことばを次のように結んでいました。「神にできないことは何一つない。」この主なる神に、聖母さまはお応えになられました。「わたしは主のはしためです。おことばどおり、この身になりますように。」

今日の福音でエリサベトは、神のみことばをそのままに信じ、ご自分を神に捧げられたマリアさまを称えて、心を込めてマリアさまに告げます。「主がおっしゃったことは必ず実現すると信じた方は、なんと幸いでしょう。」

エリサベトのマリアさまへの言葉は、恐れ多いことかもしれませんが、待降節をマリアさまとともに歩むわたしたちへの祝福の言葉でもあるのではないでしょうか。

父と子と聖霊のみ名によって。 アーメン。

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